エリート外科医といいなり婚前同居
そういうことだったのか……。中村はきっと、似たような暴言を千波にも吐いたのだろう。
だから千波は、どうして自分を抱かないのかって、不安げに俺に尋ねたんだ。
なのに俺は安心させてやれず、さらに彼女を傷つけてしまった。
〝あなたレベル〟だなんて崇めてもらうようなできた男じゃないんだ、俺は。
でも、たったひとり心から愛した女性だけは、この手で絶対に幸せにしてやりたいと思う。
……そして、それはきみじゃないんだ。
「中村」
「……なによ」
「気持ちに応えられないのは、本当に申し訳ない。でも、俺には千波だけだから。世間を知らないとか男を知らないとか、そんなの関係ないんだ。誰がなんと言おうと、俺は彼女だけを愛してる。ほかの女性には一切興味がない」
きっぱりとそう言って、中村を見据える。彼女は俺から目をそらし、悔しそうに唇を噛んだ。
そんな彼女をフォローするように、橋本がそっと彼女の肩に手を置く。