エリート外科医といいなり婚前同居

え……? ダメってなんで……?

私と礼央さんが顔を見合わせ、困惑していたその時だった。

「なーんてな。昭和のカミナリ親父、一回やってみたかったんだ」

父がふざけた調子で言い、ぺろっと舌を出した。

そういえば、しばらく会わないから忘れていたけど、父ってばこういう人ふざけた性格だった……!

「……も~~! ハラハラしちゃったじゃない!」

「ごめんごめん。暁少年のことは、文字通り少年の頃から信頼しているから、うちの娘でよかったら持ってけドロボーって感じだよ」

「持ってけドロボーって、それはそれでひどいし!」

そんなふうに私と父が親子喧嘩を繰り広げる様子を、他の三人がくすくす笑う。

そのほんわか和やかなムードは、なかなか悪くなかった。

家族って、たくさんいるとこんな感じなのかな。私、ずっと憧れていたんだ。笑い声のあふれるこんなあったかい家庭に――。





その日は実家に泊まらせてもらい、翌日は昼食をみんなで食べてから、私と礼央さんは実家をおいとました。

マンションに帰りつき荷物を片付けると、リビングのソファにふたり並んで座りひと息つく。



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