エリート外科医といいなり婚前同居

いけない、掃除だけでかなり時間を費やしてしまった。すぐに夕飯の買い物に行かなきゃ。

でも、買い物のお金をどうするのか決めてなかったな。まぁ、住み込みだから私も食べるわけだし、今日はとりあえず自分で出せばいいか……。

そんなことを考えながら、暁さんが帰ってきたらすぐ入浴できるようお風呂の給湯スイッチを押し、バッグを持って玄関を出ようとした時だった。

ガチャっとドアが開き、初めて見るスーツ姿の暁さんとちょうど鉢合わせになった。紺のスーツにレジメンタル柄のネクタイがよく似合っていて、一瞬視線を奪われる。

「あっ。お帰りなさい。早かったんですね」

「……ただいま。今日は、千波さんが来ると思ったから、早く帰ってきたんだ」

少年のように屈託なく笑った彼に言われて、ドキッと胸が鳴るのと同時に不覚にも頬が熱くなった。

彼の言葉に深い意味はなくて、今日は私が家政婦としての勤務初日だから早く帰ってきてくれただけなんだろうけど……暁さんの笑顔って、破壊力がありすぎる。

早いとこ慣れないと、いちいち過剰に反応する心臓がもたない……。

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