エリート外科医といいなり婚前同居
「しかし、すごくきれいにしてくれたんだね。俺の家じゃないみたいだ」
玄関で靴を脱いだ彼が、そう言って自分の靴を丁寧にそろえた。いつもは脱ぎっぱなしで上がるだろうに、気を遣ってくれたのかな。
「ほかの部屋も見違えますよ。でもすみません、掃除に集中していたせいで、お夕食の準備がまだで……今、買い物に行こうと思ってたところなんです」
「ああ、それなら俺も一緒行くよ」
「えっ?」
「ちょっと待ってて。着替えてくるから」
引き留める間もなく、暁さんは寝室のドアの向こうに消えた。その後すぐに「うわ、こっちも片づいてる」と感心する声が聞こえた。
掃除の出来を褒められるのはうれしいけど、えーと……私、これから彼と二人で買い物に行くの? 家政婦と雇い主って、そういう関係だっけ?
呆然としたまま玄関のそばで待っていると、ジーンズに白いコットンシャツ、その上に厚手のざっくりしたグレーのカーディガンを羽織った彼が出てきた。
彼はジーンズのポケットに財布を入れながら私をちらりと見やると、わずかに眉根を寄せて言う。
「その格好、寒いんじゃない?」