エリート外科医といいなり婚前同居

「よかったです。これから毎日食べていただくのに、初日からお口に合わなかったらどうしようって、少し不安だったので」

正直な気持ちを告げると、暁さんは苦笑してこんなことを嘆いた。

「こうまで料理がうまいと、食べられない日が苦痛に感じそうだよ。今までの生活には戻れないな、もう」

「そ、それは言い過ぎです……」

あまりの褒められっぷりに恥ずかしくなり、顔を隠すようにしてお茶碗のご飯をかきこむ。

そして空になったお茶碗をテーブルに戻すと、いつの間にか箸を置いていた暁さんが私をじっと見つめていて、ドキッと胸が跳ねる。

「……なんでしょう?」

「いや。本当にいい家政婦さんが来てくれたなって」

「ど、どうも……」

もごもごとお礼を返しつつ、本当に彼の思いはそれだけなのかと疑ってしまう。

だって、いくら家政婦が気に入ったからって、普通上着貸そうとする? 手を繋ぐ? こんなに熱い眼差しで見つめてくる……?

でも、暁さんほどのイケメンで、職業はドクターとくれば、付き合う女性には困っていないはず。

……ってことは、私のことは単にからかって面白がっているだけ?

年下で、いかにも男性経験なさそうな女が目の前に現れて、物珍しくて。そうだとしたらとても不愉快だし、やめてほしい。


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