エリート外科医といいなり婚前同居

ダメ? ……って、そんなふうに聞かれて、私はなんて答えるのが正解なの?

普通に考えたら家政婦を〝可愛がる〟だなんて発想がそもそもないでしょ……?

「ダ……ダメ、です」

「どうして?」

勇気を振り絞って告げたのに、暁さんは納得できない様子で私に聞き返す。

「どうしてって、仕事なんですから」

「俺は家にいる間、プライベートなんだけど」

「そんなこと言われても……困ります」

もう、本当に……暁さんと話していると、鼓動が暴走しすぎて困る……。

私の勘違いに決まってるけど、さっきからずっと、彼に口説かれているような気がしてしまうんだもの……。

そんな私の心の声を察したかのように、暁さんは意地悪く口の端を上げて言った。

「ドキドキするから?」

完全に図星をつかれ、顔がかぁっと熱くなった。

……も、もうダメ。この人と一緒の空間にいられない!

私はガタッと音を立てて席を立ち、自分の食器を荒っぽく重ねてキッチンの流しに持って行った。

そして、まだ席に着いたままの暁さんの背中に向かってやけくそで言い放つ。

「あとで片付けるので、食べ終わったらそのままにしておいてください! 私、お風呂いただいてきます!」



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