エリート外科医といいなり婚前同居

彼はゆっくり振り向いて、余裕の微笑を浮かべた。

「うん。ごゆっくり」

まるでさっきの会話はなかったかのような、平然とした彼の態度に、私ばかり動揺させられているようで腹立たしくなる。

暁さんのこと、昨日はいい人かもなんて思ったけれど、全然そんなことない! 私をからかって遊ぶ意地悪で悪趣味なドクターだ……!

内心そんな悪態をつきつつ、私は安息の地を求めてバスルームへ駆け込むのだった。





お風呂で少々落ち着きを取り戻してからリビングダイニングに戻ると、食器はすべてキッチンに下げられており、テーブルがきれいになっていた。

「すみません、そのままでいいって言ったのに」

リビングのソファでノートパソコンを覗いている暁さんに声をかけると、振り向いた彼にジッと見つめられ、せっかく落ち着いた気持ちがまた騒がしくなる。

その意味ありげに見つめてくるクセ、なんとかならないのかな……。

彼の視線を避けるようにキッチンへ逃げ込もうとする途中、暁さんがぼそりと独り言を漏らすのが聞こえた。

「参ったな。提案したのは自分だけど、住み込みって思った以上に……」




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