エリート外科医といいなり婚前同居
住み込み……私のこと、だよね。 思った以上に……なんだっていうの。
彼の言葉が気になりつつも、キッチンで洗い物を始めようとした時だった。いつの間にか立ち上がっていた彼が、私の元へ来て言う。
「千波さん。俺、これから部屋で仕事してそのまま寝るから……明日の朝、起こしてもらっていい?」
少々気まずそうな様子で言った彼に、さっきの言葉の続きがなんとなく思い当たる。
「ごめんなさい。私がいるせいで、お仕事に集中できないんですよね……?」
住み込みという条件は暁さん自身が提案したものだけれど、彼の思っていた以上に、私の存在で気が散るのだろう。
昨日と今日の彼を見る限り、リビングで仕事をするのがいつものスタイルのようなのに、その習慣を変えさせてしまってなんだか申し訳ない。
「集中できないのはそうなんだけど……千波さんのせいじゃないから気にしないで」
「でも……。暁さんのご迷惑になったら元も子もないし、家政婦の仕事、今からでも通いに変えて構いませんよ? 朝早く来て家事を始めて、お夕飯を作ったら帰る、とか」
「それはダメ」
私の提案を速攻で否定した暁さんは、キッチンの壁にもたれて腕組みをしながら、静かに私を見つめてこう言った。