エリート外科医といいなり婚前同居
それを伝えたら雅子はとても感激し、『友達になろう!』と言ってくれたのが、私たちが友人になったきっかけだ。
雅子はストレートで大学に入り順調に進級してきたため、年はふたつ下。けれど、お互い年齢は気にしておらず、なんでも言い合える仲だ。
授業の後、予定通り雅子と連れ立って、大学のそばのカフェ『発酵ファームよしだ屋』を訪れた。
小ぢんまりとした店内には木製のインテリアが多く、少し薄暗いオレンジ色の照明もあたたかみがある。
かかっている音楽は静かなピアノ曲が多く、話をするには持ってこいの環境で、発酵食品マニアの雅子はもちろん、そうでない私もお気に入りの店だ。
私たちはテーブル席に着き、それぞれ種類の違うヨーグルトドリンクと、味噌シフォンという新作ケーキを注文した。
雅子が長い黒髪をひとつに結うのを待ってから、ふたりで小さく「いただきます」をして、ふわふわのケーキにフォークを入れた。
「……あ、意外と美味しいね。味噌の香りとほんのりしょっぱい感じが」
「うん。麹(こうじ)と酵母と乳酸菌の頑張りを感じる……!」