エリート外科医といいなり婚前同居

「でも、ここが職場になるわけだからね……」

そう自分を励ましてエントランスに入ると、磨き抜かれた大理石の床に出迎えられた。天井には、派手すぎない上品なシャンデリア。あちこちに観葉植物の緑があるのも爽やかで、心地いい空間だ。

私はインテリアをキョロキョロ観察しながら、正面の受付へ向かう。

そこには、キャビンアテンダントのようにきっちり髪をまとめた受付嬢が二人ほど立っていた。

「三十五階の、(あかつき)礼央(れお)さんとお約束している、紺野と申しますが……」

「お伺いしております。どうぞ」

緊張しながら告げた私に、受付の女性はすぐに手のひらをエレベーターホールへと向け、にこやかに案内してくれた。

エレベーターに乗り込み、三十五階に着くまでの間に、バッグからコンパクトミラーを取り出し、身だしなみのチェックをする。

顎より少し長いワンカールボブ。小動物っぽいと言われる黒目がちの瞳。人より小さめの鼻と口。

素朴で垢抜けない顔だとは思うけど、この顔で二十四年生きてきたわけだから、自分ではまぁまぁ気に入っている。

初対面の相手にも、そこまで嫌な印象を持たれるほどアクの強い顔ではないと思うんだけれど……。


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