エリート外科医といいなり婚前同居

千波は照れくさそうに笑って、リビングダイニングのドアの向こうへ消えていく。その後ろ姿を見送った橋本が、恨めし気に俺を見つめて呟いた。

「前世でどんな徳を積んだら、あんなピュアで可愛い年下家政婦に甲斐甲斐しく世話をしてもらえるんだ?」

「……知るか」

どうやらちょっと挨拶を交わしただけで、千波の可愛さが橋本にもひしひしと伝わったらしい。

千波に会わせるという目的は達成したし、もう帰れと追い返したくなるところだが、客人のためにいつも以上に張り切って料理をしたであろう千波の気持ちを思うと、そうもできないのが悩ましい。

俺はひとつため息をこぼしてから、橋本を連れて部屋に上がった。





ダイニングテーブルには、気合の入ったイタリア料理がテーブルに並んでいた。メインの肉料理はまだオーブンの中らしく、キッチンから香ばしい匂いが漂っている。

俺と千波は炭酸水、橋本には赤ワインを出して乾杯をすませると、橋本は前菜のカプレーゼやブルスケッタをつまみに、グラスを次々空けていく。



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