雨宮社長の専属秘書は気苦労が絶えません
〇某イタリアンレストラン(夜)

お洒落でリーズナブルなのが売りのイタリアンレストランにて。
AMAMIYAFOODS秘書課の面々がテーブルを囲んでいる。
雨宮が出張してる間は休んでいいと言われた陽和だったが、出勤したようで立花の隣に座っている。
どうやらこの会は、陽和の歓迎会のようだ。

立花「では、陽和ちゃんの歓迎を祝して……!」
米山「歓迎を祝す、とは日本語としてどうなのかしら?」
大西「まぁあぁ、いいじゃないですか」
伊藤「陽和ちゃん! 秘書課にようこそ!」
持山「かんぱーい」
陽和「ありがとうございます!」

ソフトドリンクで乾杯をする陽和。

立花「あれ、陽和ちゃんはお酒飲めないの?」
陽和「いや、そういうわけでもないんですけど、今日は控えようかと」

つい先日、酔っぱらって醜態をさらしたばかりですし。

持山「えーせっかくの歓迎会なのに? ちょっとくらい飲んだら?」
伊藤「パワハラですよ、それ」
大西「まぁまぁ、仲良くやろうよ」
米山「すみませーん、大吟醸ロックで」
立花「最初っから飛ばしますねぇ、ヨネさん」
米山「その呼び方はやめろって言ったわよね、絞められたいの?」
大西「まぁまぁ、飲みの席ですし寛大にいきましょうよ」
米山「大吟醸、お代わり!」

立花さんは相変わらずチャラいし、米山さんは自由過ぎるし、大西さんはきっと家でも奥さんの顔色を窺ってハラハラしているんだろうなぁ。
そんなことを考えながら料理をつまんでいると。
伊藤が思い出したように手を叩いた。

伊藤「そういや、陽和ちゃん聞いたよ~。某ホテルの食品偽造に気が付いたんだって?」
陽和「食品偽造だなんて。そんな大それたことじゃなくて、ちょこっとズルをしていたのを見つけただけです」
持山「でも、そのちょこっとしたズルが、うちにとっては大損を招きかねないわけで、誰も気が付かなかったのに分かるなんてすごいよ」
伊藤「さすが、社長の専属秘書ね」
陽和「やめてくださいよ、持ち上げすぎです」

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