雨宮社長の専属秘書は気苦労が絶えません
立花「ん? 陽和ちゃん顔赤いけど、酒飲んだ?」
陽和「いや、私は!」
米山「あれ~、もしかして想像しちゃったのぉ? ここだけの話、社長って結構良い身体してるわよねぇ」
立花「ヨネさん? もう酔ってます? 目が座ってて怖いですよ」
伊藤「昔、水泳をやってたみたいですよぉ。脱いだらどんな感じなのかな?」
立花「伊藤さんまで! 狩り人の目になってますって」
米山「どうりで!胸板がね!こんな薄っぺらいのと!違うわよね!」

そう言って米山は、立花の胸を水平チョップをする。
涙目になる立花を、大西が「まぁまぁ」と宥めているところで、場はお開きになった。
(ちなみに持山は会話に参加せず、ひたすらご飯を食べていた)

**

店を出たあと、米山がまだ飲み足りないと言い出す。
2軒目に行こうかと話す面々に、陽和は帰ることを告げ駅の方へ1人歩く。
その間、さっき伊藤が話した社長の恋人について考える。

なによ、恋愛する気も暇もないとか言いながら、付き合う女性はいたんじゃない。
そりゃぁ、あのルックスだもん、恋人の1人や2人……。
でも、今はいないって榊さんが言っていたような?
そもそも社長は変わり者だから長続きしないんだって、そうだよなぁ、確かに面倒くさいタイプではあるもんなぁ。
だけど、すごく優しい人だし懐も深くて思いやりもあって――。

陽和「(って、なんでこんなこと考えてるんだろ)」

私は別に社長に恋人がいようが、いまいが関係ないのに。

「―――陽和ちゃん!」

不意に後ろから声を掛けられた。
振り向くと、息を切らした立花が立っている。
どうやら走って追いかけてきたようで、陽和は首を傾げた。

陽和「どうしたんですか、立花さん」
立花「いや、駅まで送ろうと思って追いかけたんだけど、歩くの早いね」
陽和「そうなんです、実は私、競歩の選手をやってまして」
立花「え! そうなの!?」
陽和「嘘です」
立花「その嘘、いる?」

ふふっと、立花が笑う。
チャラいけど、好青年なのがよく分かる爽やかな笑顔だ。

< 51 / 79 >

この作品をシェア

pagetop