雨宮社長の専属秘書は気苦労が絶えません
立花「家はどの辺り? 最寄り駅は?」
陽和「〇〇駅です」
立花「へぇ、行ったことないな」
陽和「下町ですからね、用事がない限り来る人はいないですよ」
駅までの道を立花と並んで歩く。
金曜日のせいか人が多く、すれ違う人とぶつかりそうになるたび足が止まる。
そんな陽和に気が付かない立花は、急に振り返って陽和の肩に腕を回した。
立花「ちょっとさ、飲み直さない?」
陽和「すみません、早く帰らないといけないので」
立花「そう言わずにさぁ……、最近、俺、彼女と別れたばかりで寂しいんだよね」
陽和「そうなんですか?」
立花「陽和ちゃんは彼氏いる?」
陽和「いないですけど」
立花「じゃぁ、いいじゃん。ってか、俺、実は前から陽和ちゃんのこと可愛いなぁーと思ってて、2人で飲みたかったんだよね」
挑発的な笑みを向ける立花。
いつもこんな風に女の人を誘うのか。
陽和は断り切れないと踏んでいるのだろう。
陽和「それは光栄ですけど、お断りします」
立花「え?」
陽和「失礼します!」
ポカンとした顔をする立花に一礼をし、陽和は走りだした。
そのまま駅まで行き、改札をくぐったところで呼吸を整える。
陽和「(び、びっくしりしたぁ)」
〇花里家(朝)
土曜日の朝も、花里家はにぎやかだ。
颯は野球の練習、和奏はバイトとデートだが、陽和と匠、陸、唯和は特に予定がなかったので、母のお見舞いに行った後、大きな公園に行こうかと話していたところ。
陽和のスマホに、雨宮からの着信が入った。