雨宮社長の専属秘書は気苦労が絶えません

陽和が着ているのは、ごく普通のシフォンブラウス。
胸元でリボンを結ぶタイプだけど、これを派手だというならもうリクルート用のブラウスしかないな、と考えていると、社長室の奥から榊が笑いながら出てきた。

榊「おかしいですね、今日の商談相手は30代の女性ですよ」
陽和「30代の、女性?」

そこで雨宮が咳ばらいをする。
だが、榊は構わず続けた。

榊「フィットネスジムを経営している方で、女性向けのトータルケアに我が社の食品を使いたいそうです。その方はもともとはアパレルにいた人だからスカートの短さなど気にしないでしょう」
雨宮「……相手に関係なく、商談にはきちんとした格好で臨むべきだ」
榊「花里さんの恰好がきちんとしていないというなら、全社員の服装を見直さなくてはなりませんね」
雨宮「もういい!好きにしろ」

バンッと机を叩いて、社長室から出て行こうとする雨宮。
だが、ドアのところで立ちどまり振り返ってこう言った。

雨宮「僕は忠告したからな、どうなっても知らないぞ」


〇某レストラン(昼過ぎ)

ここはAMAMIYAFOODSがプロデュースしているレストラン。
ここでフィットネスジムの女社長(以下、愛花)と商談するため、雨宮と榊、陽和が訪れている。
ちなみに、普通はこの程度の商談だと社長自らが出てくることはないが、愛花の親が某大企業の会長ということもあって、雨宮が直々に対応するのだ。

愛花「お待たせしてごめんなさい」
雨宮「いえ、今来たところですよ。どうぞ、お掛けください」
愛花「ふぅ、走ってきたから喉乾いちゃった」
雨宮「先に冷たいドリンクを注文しましょうか? ここのレモンスカッシュは美味しいですよ」
愛花「じゃぁ、それ頂こうかな。ほんと、瑛士さんはいつも気が利くのね」
雨宮「とんでもない」

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