雨宮社長の専属秘書は気苦労が絶えません

陽和「和奏！和奏、大丈夫なの！？」
和奏「お姉ぇ～ちゃん」
陽和「怪我は？どこか痛いところは……」

陽和は和奏に駆け寄りながら、彼女に怪我がないかチェックする。
しかし、どちらかというと怪我をしてるのは和奏の彼氏と、数名の男たちの方で……。

和奏「ひどいんだよ、この人たち！　うちの花里パンを馬鹿にして」
陽和「は……パン？」

ポカンとする陽和。
言われてみれば、地面にパンがいくつか落ちている。
ますます意味が分からず首を傾げる陽和。
和奏は興奮状態にあり何を言っているか分からないので、代わりに雨宮が説明した。

雨宮「そこにいる奴が和奏ちゃんの彼氏なのは知ってるな？」
陽和「はい」

地面に座り込むユーキを睨みながら頷く。

雨宮「で、こいつらは彼氏の協力者で、和奏ちゃんを襲おうとしたんだ」
陽和「なんですって！？」
雨宮「その件に関しては未遂だから心配するな。男4人がかりで和奏ちゃんを襲おうつもりが、反対にやられちゃったんだからな」

雨宮は堪えきれないとばかりに吹き出し、咳ばらいをする。
ことの状況を整理すると、ユーキが和奏を呼び出し、2人でいるところを予め控えていた男3人が出てきて因縁を付け始める。そこで様子を窺っていた雨宮が助けようとしたしたが、予想を反して和奏が大暴れしたのだ。

ユーキ「やってらんねぇよ、たかだかパンぐらいで」
陽和「パンぐらいってどういうこと？」
ユーキ「そいつが（和奏）家から持って来たんだよ、パパのパンとか言って。くだらねぇもん持って来るなと言ったら、急にキレやがって」
和奏「当たり前でしょ！いくらユーキでも、パパのパンを馬鹿にするやつは許さない！」
ユーキ「きもいんだよ！」

――パチン、
陽和がユーキの頬を平手打ちした。