大嫌い、だから恋人になる
「いや、そんなことは無いよ」

と俺は思わず答えた。

春香さんに本当のことを言う勇気は無かった。

俺はその日、春香さんの買い物に付き合い、そのままカラオケに行って遊んだ。

告白して直ぐに留学したから、春香さんとデートしたことはまだ無い。

これがデートかどうかわからないが、多分、デートみたいなもんだろう。

春香さんはカラオケも上手かった。本当に何一つ欠けてる物が無くて、こんな理想的な女性が居るのが不思議な位だった。

「玲も歌ったら?」

春香さんは一通り歌い終わった後、俺に言った。

「良いよ。俺は歌下手だから」

「そうだったわね。でも何でも完璧に出来るのに、歌だけは苦手なのよね」

何でも完璧、俺は時々、良く言われる。

でも実際にはそんなことは無い。
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