大嫌い、だから恋人になる
「ゴメン、用事があるからそろそろ帰ろう」

俺はそう言って不満そうな春香さんをやや強引に家に送っていった。

それから一日置いて、冷静になった時、俺はきちんと春香さんに言った。

「俺、やっぱりちひろの事が好きみたいだ」

「そう、わかったわ」

春香さんは思いの他、冷静な調子で言った。


「もう告白したの?」

「してない。ちゃんと整理してからにしようと思って」

「なら仕方ないわね」

「怒ってないの?」

「そうね。怒ってないと言えばウソね。でも私、確信があるもの。あの子は玲の告白を受け入れないわ」

春香さんがどうしてこんなにきっぱりと断言したのか、俺には良くわからなかった。
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