ヴィーナスパニック
もう一人の青髪の子もド派手だしイケメンだったけれど、それでも視線を奪われるのは浅葱くんだ。
圧倒的な存在感。
彼はきっとどこにいっても、主役になれる人。
たまにしか学校に来なくても、いつも男女問わず多くの生徒に囲まれてる。
脇役で一生を終える私とは、まるで世界が違う。
今日は奇跡が起きたんだ。
もう二度と、あんなにあの人と近づく事はない。
どうしても見た目や纏う空気感から怖いって感情が先行してしまうけれど、さっきの事は有名人な彼との唯一の接点として一つの貴重な思い出になるだろう。
褒められたシチュエーションではないものの。
パラパラと教科書をめくりながら、記憶を思い起こす。
っていうかあの青髪の子、名前なんだっけ。
浅葱くんとよく一緒にいる子。
どこかで会ったことがあるような……。
たまに校内で見かけるとか、そういうんじゃない。
脳内アルバムを探る。
「あっ!」
思い出した!
反射的に声が漏れる。
そうだ、一年前の同じ時期。
さなちんと一緒に帰ってて、もう学校を出るっていう一歩手前で突風が吹いたんだ。
ひらりと舞い上がるスカート。
他の女子生徒は高速で手で押さえて危機一髪、パンチラを免れた。
男子にラッキースケベはやってこなかった。みんな舌打ちしたことだろう。