ヴィーナスパニック
「さなちん、なんか私怖くなってきた……!」
「え、急になに!?あたしが怖いんだけど!?」
衝動的にさなちんの肩を掴みガクガクと揺さぶる。
私の顔が鬼気迫るものだったからか、彼女はドン引きしていた。
そんなこんなで、高校最後の年は自分みたいな平凡女にも恋愛の神様が微笑んでくれたらいいのになぁとか小さく願ってみた。
今までそっぽ向かれてたんだから、少しくらい振り向いてくれたっていいじゃない。
相手が櫂くんじゃなくても。
ううん、櫂くんを望むなんてバチが当たる。恋愛の神に身の程を知れと往復ビンタされる。
贅沢は言いません。顔面レベル同等の人でお願いします。
「ちょっと、今日いつにもましておかしいよ。大丈夫?」
両手を合わせて拝んでるとこに、さなちんの呆れた声でハッと我にかえる。
「だ、大丈夫だよ!ほら、新しいクラス行こっ」
さなちんの腕をとって、私達は校舎へと足を進めた。
こうして新学年がスタートしたのである。