加納欄の受難 シリーズ1 シーズン1
「欄、時間です。事件は解決しましたね。もう何も思い残すことはないでしょう」

 あたしは、師範を睨み付けた。

「時間ってどこに連れてくつもりだよ」

 高遠先輩が師範に聞く。

「中国ですよ。欄は私と共に生きるんです」

「何寝ぼけた事を言ってんだよ。当の本人が何にも言ってねぇだろ」

 大山先輩が言った。

「嫌なら嫌と言えばいいだけです。何も言わないのは嫌じゃないからですよ」

 あたしは、首を横に何回もふった。

「欄の意志が分かれば、私だって無理強いはしませんよ」

 師範は、あたしを無視して淡々と話す。

「よ~し。言ったれ言ったれ」

 大山先輩が、あたしをけしかける。



声が出ないことをいいことに、好き勝手言ってぇ~。



 あたしは、出ないとわかりつつありったけの大声を張り上げた。

「このまま声が出ないままでいいのですか?私のところに戻ればすぐに治してあげますよ」



あと少しで、声が出せるんじゃなかったの・・・?



「(師範?!)」

「おい、ちょっと待て。てめぇが欄に何かしたのか!?・・・毎っ回毎回ふざけたことしやがって!」

 大山先輩が、師範に向かって拳を振り上げた。



大山先輩待って!!



 思ったのもつかの間、大山先輩は、軽くあしらわれ簡単に吹き飛ばされた。

「(大山先輩!)」

「仁!」

 吹き飛ばされた大山先輩を見て、高遠先輩も師範に向かって行った。

「(高遠先輩っ!)」

 高遠先輩は構えをボクサーポーズに切り替え、間合いをとってはいたが、師範が一瞬のスキをついて高遠先輩の懐に入り、当て身をくらわした。

 高遠先輩がドサッと崩れ落ちる。

「(高遠先輩!)」

 あたしは、二人のもとへ駆け寄った。

 高遠先輩の身体を調べ骨に異常がないか確認した。

 とりあえず折れてはいないようだった。

「日本の刑事は弱いものですね。この程度で大切なモノを守ろうとしているのですか?」

 師範はあたしを見ながら言った。

「(弱くなんかないですよ!誰かを守りたいという気持ちは、人一倍先輩達は強いですよ!人の気持ち無視して暴力で支配してる師範より、先輩達のほうがよっぽど頼りになるし強いです!)」


< 41 / 46 >

この作品をシェア

pagetop