運命が紡いだ物語
病院を出た私たちは、駅に向かうバス停まで行った。

「花・・?
大丈夫?」

ベンチに座ると翔大は心配そうに私を見た。

「まさか、私を助けてくれたのが父さんの妹さんだったなんてね・・
望月さんのことといい、こんな偶然って重なるんだね。」

私は苦笑いをするしかなかった・・

父さんのお父さんが院長をしてるってことは、
この病院で父さんが働いてたのはほぼ間違いない。

ということは、陽向が産まれたとき、陽向のお母さんを担当したのはきっと父さんだ・・

間違いないとまでは言えないけど、その可能性は結構高いと思う。

翔大はこのことをどう思ってるんだろう・・

私は聞いてみることにした。

「翔大・・
陽向のお母さんが亡くなったのも、陽向が2歳の時だって言ってたの・・。
この病院で陽向が産まれたのも、この病院で父さんが働いていたのも確かだよね・・。
翔大はどう思う?
父さんが・・」

「俺は違うと思う。
陽向が産まれたときの担当医が花の実の父親だったとして、弟が生まれるときは違う病院で産んだかもしれないだろ?」

「それはない。」

「なんで?」

「陽向にお母さんが亡くなった時の話をしたとき、
陽向のお父さんは『“あらい”先生は悪くない』って陽向に直接言ってたの。
私は、それを陽向から直接聞いた・・
だから、陽向の弟さんが産まれる時も、“あらい”先生が担当医だったことは間違いないの。」

もう、私の中では確定していた。

陽向のお母さんが亡くなった時、陽向のお母さんを担当をしていたのは紛れもなく
父さんだ・・。
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