運命が紡いだ物語
「この間は娘がお世話になりました。」

席に着いたお父さんは新井先生にお礼を言った。

「いえ。
あれからけがのほうは大丈夫でしたか?」

「はい。
覚えててくださったんですね。」

私はそう言った。

正直、忘れられてるんじゃないかと思っていたから・・

「愛笑ちゃんのことを探してるって聞いたあの日から、
あなたたちご兄妹のことを思い出さない日はありませんでした。
失礼かもしれませんが、どこかあなたが私の兄に似ているような気がして
忘れられなかったんです。」

そうだったんだ。

私と、父さんが似ている・・

望月さんにも母さんに雰囲気が似ているって言われたな。

本当なら今すぐ私が愛笑なんですって言いたいのに、

やっぱり怖い・・。

その時、お母さんの手が私の背中に触れた。

お母さんの顔を見るとお母さんはうなずいた。

大丈夫。

そう言ってくれてるみたいで、
うれしかった。

お母さんのおかげで言う勇気が出た。

ちゃんと言わなきゃ。

こんなに心配してくれているんだもん。
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