私の中におっさん(魔王)がいる。
(この人達、かっこうとか容姿も少し変だし……もしかして、新手の変な宗教なんじゃ!?)
もしかして私、昨日登校途中にこの人達に拉致られたんじゃない? それで、妙なことを吹き込んで変な宗教を信じ込ませようとしてるんじゃ?
(ヤバイ! 逃げなきゃ!)
とりあえず、ここは話をあわせて、油断させて逃げよう。幸い縁側から抜け出せそうだし。
「わ、わかりました。魔王ってやつが私に入っちゃったんですよね? で、帰り方はわからないと」
「はい。申し訳ございません」
風間さんは深々と頭を下げる。
「じゃあ……とりあえず、私、まだ混乱してるので、さっきの部屋に戻ってても良いでしょうか?」
「そうですよね。お戻りになられてください。あっ、部屋わかりますか?」
「わかります!」
ついてこようとする風間さんを止めて、私はそそくさと部屋を出た。
* * *
「ありゃぁ、信じてねえな」
「だね。見え見えだし。ぼく達のこと、頭おかしいやつらだと思ってるよ、絶対」
嫌味たっぷりに黒田が笑う。
「でもさぁ、あの女の話に出てきた白い空間とかってなんなわけ?」
軽口を叩くような声音とは反対に、心の中では周囲を試していた。特に、風間と毛利を注意深く見る。
黒田の質問に、一同は眉をひそめた。