私の中におっさん(魔王)がいる。
「屋敷は庭を含めた東、西、南、北、そして中央の五つの区画に別れております。西が花野井様ご一行、南が毛利様ご一行、北が黒田様ご一行で、東が我々になります」
「へえ~。そうなんですか。じゃあ、今いるここは東の区画ですか?」
「ええ、そうです。しかし、谷中様には中央の区画へ移っていただく予定です」
「どうしてですか?」
ここでも十分なのに。
「中央にはお風呂と台所もございます。台所が近ければ暖かいうちに召し上がっていただけますし、お風呂も近いほうが湯冷めしなくてよろしいかと思いまして」
ああ~。たしかにそれは助かるかも。
「たしかにそうですね。ありがとうございます。でも良いんですか?」
「ええ。私共のせいでこちらの世界へ呼んでしまったのですから、当然のことです」
風間さんはにこりと笑った。
「そういえば、さっき歩いてる時に人の気配が全然しなかったんですけど、月鵬さん達お付の人以外にいるんですか?」
「ええ、おりますよ」
やっぱ、いたんだ。
「よろしければ、お風呂の支度が整っておりますので、もう中央に移動なさりますか?」
「ああ~……そうですね。お風呂入りたいし、お願いします」
「では、ご案内いたします」
にこりと笑って、風間さんは渡しから視線を外すと、少し強めの口調で声音で雪村くんを呼んだ。
「雪村様!」
「え、ああ、なに?」
雪村くんは気のない返事を返した。
「ご案内なさって下さい」
「え!? なんで!?」
驚く雪村くんの肩を抱いて、風間さんは耳元で何かを囁いた。
「なっ――あっ! そ、そんなこと……!」
雪村くんが動揺しながら、風間さんの肩を押しのける。
顔が赤い。
どうしたんだろ?
「それでは、雪村様がご案内いたします。ごゆっくりなさって下さい」
風間さんはにこやかにそう告げると、さっさとその場を去って行った。
私は残された雪村くんに目を向ける。彼は真っ赤な顔でなにやら、ぶつぶつと自問自答していた。
一体、何言われたんだろ?
「雪村く~ん。案内お願いしま~す」
「はう!」
呼びかけると、雪村くんはあからさまにびっくりしていた。
別に、取って食ったりしないのに。
「へえ~。そうなんですか。じゃあ、今いるここは東の区画ですか?」
「ええ、そうです。しかし、谷中様には中央の区画へ移っていただく予定です」
「どうしてですか?」
ここでも十分なのに。
「中央にはお風呂と台所もございます。台所が近ければ暖かいうちに召し上がっていただけますし、お風呂も近いほうが湯冷めしなくてよろしいかと思いまして」
ああ~。たしかにそれは助かるかも。
「たしかにそうですね。ありがとうございます。でも良いんですか?」
「ええ。私共のせいでこちらの世界へ呼んでしまったのですから、当然のことです」
風間さんはにこりと笑った。
「そういえば、さっき歩いてる時に人の気配が全然しなかったんですけど、月鵬さん達お付の人以外にいるんですか?」
「ええ、おりますよ」
やっぱ、いたんだ。
「よろしければ、お風呂の支度が整っておりますので、もう中央に移動なさりますか?」
「ああ~……そうですね。お風呂入りたいし、お願いします」
「では、ご案内いたします」
にこりと笑って、風間さんは渡しから視線を外すと、少し強めの口調で声音で雪村くんを呼んだ。
「雪村様!」
「え、ああ、なに?」
雪村くんは気のない返事を返した。
「ご案内なさって下さい」
「え!? なんで!?」
驚く雪村くんの肩を抱いて、風間さんは耳元で何かを囁いた。
「なっ――あっ! そ、そんなこと……!」
雪村くんが動揺しながら、風間さんの肩を押しのける。
顔が赤い。
どうしたんだろ?
「それでは、雪村様がご案内いたします。ごゆっくりなさって下さい」
風間さんはにこやかにそう告げると、さっさとその場を去って行った。
私は残された雪村くんに目を向ける。彼は真っ赤な顔でなにやら、ぶつぶつと自問自答していた。
一体、何言われたんだろ?
「雪村く~ん。案内お願いしま~す」
「はう!」
呼びかけると、雪村くんはあからさまにびっくりしていた。
別に、取って食ったりしないのに。