Fall -誘拐-
「わたしは今日まで生きてみました♪
そして今♪ わたしは思っています~♪
明日からも♪
こうして生きて行くだろうと~♪」
道を作ったはいいものの、
“センス”とかそういう生まれ持ったものはやっぱり平凡だった。
自称ミュージシャンとも名乗れない、
たまに空き缶に入る10円玉や100円玉に歓びを感じて、
バイトでなんとか生計を立てる日々が続いているけど、
それでも平凡な大学を出て、
平凡なサラリーマンになっていたレールと考えるよりは何百倍も楽しかった。
ただやはり“ドラマチック”か“平凡”の境界線を引かれると・・僕は平凡な男だ。
この前出会った黒部リカさん。
今日も不自然にキョロキョロしながら拓郎を歌い終わるけど、
どうやら今日も・・。
あの日以来、彼女が現れる事は無かった。
まぁそりゃそうか・・何を期待してるんだ、と自分を納得させて、
今日も〆は千春 松山を歌っ・・・
「・・・・・・・・・・・あ・・。」