Fall -誘拐-


“間もなく~平塚~。平塚~。
お出口は左側です”


最寄り駅に着いた後、
バスを乗り継いで目的地に着いた。


どこに連れて行かれるのかとウキウキしていたリカも、

段々とその目的地が・・そして僕がどうしてここに来たかったかを察してくれた。


バスを降りた後・・手を繋ぎながら、
“湘南平”へと向かう。


「リカ。」


「うん?」


「・・ちゃんと仕事に就くことにした。」


「え・・・・。」


「自称ミュージシャンはもう終わり。

営業だろうが土方だろうが、
ちゃんとした定職に就くよ。」


「もう・・・歌わないの・・?」


「これからは趣味の範囲で・・かな?」


「良かったぁ!」


「え・・・?」


「私にとって、
ヤッちゃんの歌は希望だもん。」


「ちょっと・・やめてよ恥ずかしい。」


「ううん。ホントに救われたんだよ。

お母さんが死んじゃうかもしれないって分かった時・・目の前が真っ暗になって・・。

でも、ヤッちゃんが真っ暗から私を引っ張り出してくれた。」


「・・・・・・・・・・。」


「私達の関係を紡いでいったのは、ヤッちゃんの歌と・・チンジャオロースだから!」


「ハハッ・・チンジャオロースもアシストしてくれたんだね。」


「私もあそこの味目指して、
最近ずっと家で練習してるんだよ!」


「そんな毎日作ってたらお父さん飽きちゃうんじゃない?」


「そんなことないよ。お父さんいつも美味しいって言って完食してくれるもん。」





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