幼馴染との正しい距離感
だけど、ちゃんと質問に答えてくれる。



「相手にどきどきしたり
一緒にいたいと思ったり
大事にしたいって思ったら」


「ずっと好きだって思いが消えないなら
恋なんじゃないの」



…。

……ずっと、好きだって思い…




「…」

「…それで?」

「え?」

「つむぎが好きだって思う人は誰?」

「私が…好きだって思う人…」



ミキちゃんは机に両肘をついて
やれやれとした表情を浮かべた後

私でさえ理解できてない私の気持ちを
見透かすように問いかけてくる。



「つむぎがずっと変わらず
好きだと思ってる人は何人いる?」

「…」

「その中の誰が一番
つむぎの心を揺らす?」

「…」

「つむぎが一番に好きを思い浮かべる相手は誰?」



…。



ミキちゃんの言葉が


その問いかけが


次々、心の中に波紋を生み出す。




ずっと変わらず穏やかだった心の水面。


波が立つことなんて一度もなかった。



けど



落とされた、その言葉のしずくで
水面が揺れて、広がっていく。



心のずっと奥の方まで。










「……ようやく自覚?
ほんとに今更な感じだけど」



少し呆れの入った愉快そうな顔も、声も


全然気にならないくらい


それどころじゃないくらい



私は



激しく、うるさく
壊れそうな位、早く鳴り続ける心臓と


体を焼いてるんじゃないかってくらい
異常に熱くなる体温と


自分の心と、戦っていた。
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