midday crow
金曜日の放課後である。

「太陽、大丈夫かねえ」

スネアを弾ませながら彩人が言った。

いつもと変わらない態度だが、聴こえてくるスネアには覇気がない。

軽音楽部の三人は、太陽の追試が終わるのを、部室で待っている。

「さあなあ……」

焔はベースに触ることもせず、ぼんやりしている。

心配が如実に現れている。

などという紅羽も、普通に心配である。

この日まで、詰め込めるだけは詰め込んだが、脳の容量には限界がある。

追試を受ける教室に向かう前、「俺が留年しても友だちでいてくれ」だのと、太陽は涙目でのたまっていた。
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