二人を繋ぐ愛の歌
暗い夜道、チラホラ見える街灯の灯りを頼りに歩きながら通勤鞄とずっしりとした袋を両手に空を見上げる。
星なんて数個見えたらいいくらいの夜空を暫く見てから顔の向きを戻し再び歩き出すと、すれ違った男性が、あ……。と声を出した。
「嶋川沙弓さん?」
「え?」
フルネームで名前を呼ばれたので思わず足を止めて振り返ると、そこにいたのはボサボサな頭をして長めの前髪で顔を隠した男性。
誰?と思ったのが率直な感想だった。
「……すみません、人違いです」
「いやいやいや、反応したし振り返ったよね?
それに俺、一回会って話した人の名前と顔はバッチリ覚えるタイプだから」
「わ、私は名前も顔も滅多に覚えられないタイプですから。
それに、あなたには一度も会った覚えはありません」
知らない男性に名前と顔を知られている恐怖をなんとか抑えつけてそう言うと、男性は前髪の隙間から一瞬だけ見えた目を丸くしていた。
それから、あー……。と何か納得したように呟くと前髪を掻き上げて隠されていた整った顔を見せた。
「ほら、これならわかるよね?前テレビ局で会って弁当一緒に机に並べたでしょ?」
そう言われて思い出すのは弁当の配達の初日にラフな格好の男性スタッフに手伝ってもらって弁当を並べたこと。
多少の会話はしたけれど、その人がどんな顔をしていたのかなんて覚えていなかった。
「えっと……なんとなく覚えてるような……?」
「なんとなくって……本気で覚えてないんだな。
それに……まさか、俺の事気付いてない……?」
最後の方で呟いた声は小声すぎて沙弓には聞こえなかったけれど、男性は何か考え事をしているのか首を捻りながらじっと沙弓を見てきた。
呼び止められた手前、どうしたらいいのかと困っていると男性は掻き上げていた髪を下ろすと再びぐちゃぐちゃにした。
星なんて数個見えたらいいくらいの夜空を暫く見てから顔の向きを戻し再び歩き出すと、すれ違った男性が、あ……。と声を出した。
「嶋川沙弓さん?」
「え?」
フルネームで名前を呼ばれたので思わず足を止めて振り返ると、そこにいたのはボサボサな頭をして長めの前髪で顔を隠した男性。
誰?と思ったのが率直な感想だった。
「……すみません、人違いです」
「いやいやいや、反応したし振り返ったよね?
それに俺、一回会って話した人の名前と顔はバッチリ覚えるタイプだから」
「わ、私は名前も顔も滅多に覚えられないタイプですから。
それに、あなたには一度も会った覚えはありません」
知らない男性に名前と顔を知られている恐怖をなんとか抑えつけてそう言うと、男性は前髪の隙間から一瞬だけ見えた目を丸くしていた。
それから、あー……。と何か納得したように呟くと前髪を掻き上げて隠されていた整った顔を見せた。
「ほら、これならわかるよね?前テレビ局で会って弁当一緒に机に並べたでしょ?」
そう言われて思い出すのは弁当の配達の初日にラフな格好の男性スタッフに手伝ってもらって弁当を並べたこと。
多少の会話はしたけれど、その人がどんな顔をしていたのかなんて覚えていなかった。
「えっと……なんとなく覚えてるような……?」
「なんとなくって……本気で覚えてないんだな。
それに……まさか、俺の事気付いてない……?」
最後の方で呟いた声は小声すぎて沙弓には聞こえなかったけれど、男性は何か考え事をしているのか首を捻りながらじっと沙弓を見てきた。
呼び止められた手前、どうしたらいいのかと困っていると男性は掻き上げていた髪を下ろすと再びぐちゃぐちゃにした。