二人を繋ぐ愛の歌
「引っ越し業者に荷解きと片付けとセッティングのサービスも頼んでおいたんだ。
だからやることはそんなにないと思うけど……」

そう言いながらドアを開け、そっと背中を陽人に押されれば沙弓はピカピカの玄関に恐る恐る足を踏み入れることになった。

出来たばかりの部屋はどこも綺麗で壁に触るのですら戸惑ってしまう。
そうして陽人に誘導されるままリビングに足を踏み入れると、そこはまるでテレビによく出てくるような落ち着いたレイアウトが完成されていて、見たことがないお洒落な家具も置いてあった。

「凄い、素敵……」

「時間なくて家具とか一緒に見に行けなかったから、コンシェルジュに頼んでインテリアコーディネーターを呼んでもらったんだ」

「コーディネーター……何か、住む世界が違う気がしてきた」

「一緒の世界だよ。
最低限は用意してもらっといたけど、他に必要なものは今度一緒に買いに行こう」

テーブルや照明、至る所を物珍しく見渡していたら陽人に手を引かれて正面から抱き締められた。
隙あらば抱き締めてくる陽人の背に沙弓は戸惑いがちに腕を回すと、意を決してギュッと服を掴んだ。
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