二人を繋ぐ愛の歌
「陽人君が陽菜ちゃんのこと言ってたの?付き合ってから?付き合う前から?」

「えっと、付き合い始めたのは本当につい最近で……頂点対決の決着の日なのでその大分前の、お互いにまだ気持ちがなかった頃からかと……」

「マジか……」

「マジです……けど、それが何か?」

かなり驚いている様子の拓也に沙弓は首を傾げる。
陽人が母親の話をするのはそんなにおかしなことなのだろうかと不思議に思っていると、とても嬉しそうな顔をしている陽菜が小さな声で話し出した。

「陽人って、小さいときから芸能人の子供だとしか見られなかったことが多くて……それで私達の話をするのもされるのも嫌っていたんだけど……沙弓ちゃんには嫌がることなく話してくれていたんですね」

嬉しいです。と少し涙目になっている陽菜の頭を無言でそっと撫でる勇人の姿に一瞬陽人が重なった。

さっきまで無言の勇人が少し怖かったのだけれど、勇人の陽菜を見つめる眼差しがいつも陽人が沙弓に向けている物と全く同じだったのだ。
それに気付いた沙弓は、やっぱり親子だな。と思うと小さく笑いだした。

突然笑いだした沙弓に何が面白かったのか分からなかったのであろう三人は同時に首を傾げるのだった。
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