二人を繋ぐ愛の歌
「ごめんなさい。
だって、お父様ずっと一言も話さなくて怖い感じだったから私もずっと緊張してたのに、お母様を見るときの目は陽人と同じだったから……それをみたらやっと緊張が解けて、そしたらずっと緊張してたのが可笑しくなってきちゃって……」

そう言いながらさらにクスクス笑うとばつの悪そうな勇人と困ったように眉を下げ苦笑する陽菜。
そして、お腹を抱えて爆笑している拓也が滲んできたらしい涙を拭いながら勇人に視線を向けた。

「沙弓ちゃんがずっと緊張してると思ったら勇人のせいか!沙弓ちゃん、こいつ表情あんまり変わらないし無口だけど怖くないからね。
ただの陽菜ちゃんバカだから」

「……拓也、後で覚えてろよ?」

「ほら、そんな目でそんなこと言ったらまた沙弓ちゃん怖がらせるぞ?
いいのか?父親が怖いせいで息子の恋路が上手くいかなくなっても」

「そ、それは困りますっ!あの、勇人さんは怖い人ではないので陽人共々よろしくお願いしますっ」

「はい、こちらこそよろしくお願いします」

その場を明るくする拓也に小動物のようにおどおどしつつもどこか癒される陽菜。
そしてよく見ればどこか不満そうな表情をしているのが分かる勇人を見て、沙弓は笑顔で頭を下げた。

最初はどうなるかと思ったけれど何とか受け入れてもらえたような、そんな気がして嬉しく思った。
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