冬の王子様の想い人
「楠本くん、葉山さんって下の名前はなんて言うの?」
恐る恐る尋ねる。嫌な予感がする。
「え? ナツカだよ。季節の夏に加えるで夏加(なつか)」
バシッと頬をはたかれたような気がした。
『夏加』……季節の夏が入った名前、しかも雪華の幼稚園の頃に出会っている幼馴染。
その事実が導く答えはひとつしかない。
サーッと身体中の血の気が引いていく気がした。外はこんなにも暑いのに指先が冷たくなっていく。肩にかけた制バッグの持ち手をギュッと握りしめる。
「ナナちゃん!? 顔色が悪いけど大丈夫?」
人の感情の機微に聡い楠本くんに焦った声をかけられる。
「楠本くん……葉山さんはナツさんの条件に当てはまっているんじゃないの……?」
私の問いかけに楠本くんが言葉に詰まる。
雪華を誰よりも知っている楠本くんに質問の答えがわからないはずはない。
「……ナナちゃん、確かにアイツはナツを捜し続けていた。でも俺の微かな記憶だけど幼稚園時代、葉山と雪華はそれほど仲は良くなかったと思う。しかも離れている間、ふたりが連絡を取っていたとも聞いていない。雪華の恋人はナナちゃんだし、気にする必要はないよ」
「そうよ。たとえその葉山さんが思い出の女の子だったとしても、関係ないわよ」
親友はそう言って優しく腕を撫でてくれるけれど、心の中が凍りつくような寒々とした思いを拭いきれない。
恐る恐る尋ねる。嫌な予感がする。
「え? ナツカだよ。季節の夏に加えるで夏加(なつか)」
バシッと頬をはたかれたような気がした。
『夏加』……季節の夏が入った名前、しかも雪華の幼稚園の頃に出会っている幼馴染。
その事実が導く答えはひとつしかない。
サーッと身体中の血の気が引いていく気がした。外はこんなにも暑いのに指先が冷たくなっていく。肩にかけた制バッグの持ち手をギュッと握りしめる。
「ナナちゃん!? 顔色が悪いけど大丈夫?」
人の感情の機微に聡い楠本くんに焦った声をかけられる。
「楠本くん……葉山さんはナツさんの条件に当てはまっているんじゃないの……?」
私の問いかけに楠本くんが言葉に詰まる。
雪華を誰よりも知っている楠本くんに質問の答えがわからないはずはない。
「……ナナちゃん、確かにアイツはナツを捜し続けていた。でも俺の微かな記憶だけど幼稚園時代、葉山と雪華はそれほど仲は良くなかったと思う。しかも離れている間、ふたりが連絡を取っていたとも聞いていない。雪華の恋人はナナちゃんだし、気にする必要はないよ」
「そうよ。たとえその葉山さんが思い出の女の子だったとしても、関係ないわよ」
親友はそう言って優しく腕を撫でてくれるけれど、心の中が凍りつくような寒々とした思いを拭いきれない。