冬の王子様の想い人
「へえ……アンタもしかして俺を意識してる? 真っ赤だよ」


クックッと意地悪く口角を引き上げる彼を見上げて睨む。

この身長差が恨めしい。きっと百八十センチメートル以上はあるだろう。


「涙目。アンタ男、苦手なの?」

男性とは思えない長く細い指がそっと目尻に触れた。


からかうような言い方なのに触れる指が優しいなんて反則だ。呼吸がどんどん苦しくなって、文句を言いたいのに言葉が喉に詰まる。


「……桜汰に確認するからおとなしくしてろ」


突然の態度の軟化に驚くけれど、伝わる体温に頭がまわらない。

する、と片腕を外しパンツのポケットから出したスマートフォンで誰かに電話をかけ始めた。

もう片方の腕は私の腰にガッチリ絡みついている。


「桜汰、お前、今どこだ……はあ? いや、意味わかんねえから!」

整った眉をひそめて悪態をつく。

彼の意識が楠本くんに向いている隙をつき、なけなしの力を必死に込めて腕を外し、踵を返す。


早くここから出て行かなきゃ……!


「逃がさない」
 
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