冬の王子様の想い人
「……泣いていたの?」
声が怒気を含んだものにゆっくりと変化する。
それほど長い時間、泣いたわけではない。しかも今は彼の登場に驚いて涙は引っ込んでしまっている。
それなのに。
……どうしてわかるの?
なんで気づくの?
「俺が七海に関する出来事に気づかないと思う? どれだけ七海を見てると思うの?」
なんて自信、なんて傲慢な言い方。
なのに不快感はなく、むしろその言葉に込められた気持ちの深さと温かさに胸がいっぱいになって、泣きたくなる。
「……葉山さんが、自分がナツ、だって……だから雪華を返して欲しいって」
掠れた声で途切れ途切れに話す。雪華の反応が恐い。
思わず頬を包む温かな右手首をキュッと指で掴む。伝わる温もりが恋しくて、ひと言、ひと言話すたびに止まったはずの涙が滲みそうになる。
置いて行かないで。
葉山さんを選ばないで。
私を選んで。
我儘だと自分勝手だとわかっている。それでも願わずにはいられない。
この気持ちを捨てるなんてできない。
「……それで泣いてたのか? 俺と別れようと思って?」
その声が平坦で真意が読めない。
「違う、別れたいなんて一度だって思ってない。雪華が大好きなのに!」
必死に反論した瞬間、蕩けるような甘い眼差しを向けられた。
声が怒気を含んだものにゆっくりと変化する。
それほど長い時間、泣いたわけではない。しかも今は彼の登場に驚いて涙は引っ込んでしまっている。
それなのに。
……どうしてわかるの?
なんで気づくの?
「俺が七海に関する出来事に気づかないと思う? どれだけ七海を見てると思うの?」
なんて自信、なんて傲慢な言い方。
なのに不快感はなく、むしろその言葉に込められた気持ちの深さと温かさに胸がいっぱいになって、泣きたくなる。
「……葉山さんが、自分がナツ、だって……だから雪華を返して欲しいって」
掠れた声で途切れ途切れに話す。雪華の反応が恐い。
思わず頬を包む温かな右手首をキュッと指で掴む。伝わる温もりが恋しくて、ひと言、ひと言話すたびに止まったはずの涙が滲みそうになる。
置いて行かないで。
葉山さんを選ばないで。
私を選んで。
我儘だと自分勝手だとわかっている。それでも願わずにはいられない。
この気持ちを捨てるなんてできない。
「……それで泣いてたのか? 俺と別れようと思って?」
その声が平坦で真意が読めない。
「違う、別れたいなんて一度だって思ってない。雪華が大好きなのに!」
必死に反論した瞬間、蕩けるような甘い眼差しを向けられた。