冬の王子様の想い人
「……よかった。それで七海が引き下がらなくて」
「どういう、意味?」

呆けたように返事をすると、悪戯っ子のように片眉をあげて告げられた。


「七海は変なところで遠慮するし優しいから、葉山に言われるがまま別れるって言い出すのか心配だったんだ。俺は七海を誰よりも愛してる。やっと俺のものになったんだ。嫌だって言っても絶対に離すつもりはない」

力強く宣言されて目を瞠る。堂々とした告白に鼓動が狂ったように暴れだす。


「別れないよ!」
「当たり前」

形の良い唇で私の目尻に残った涙を拭って、そっと私の唇に自身の唇を重ねた。


「七海以外いらない。七海だけが欲しい」


ゆっくり唇を離して耳元で小さく囁いた。切ない声に胸が震えて言葉を紡げない。

頬から両手を離し、私を胸元にきつく抱き込んだ。泣きたくなるくらい安心する体温と香りに包まれる。


「葉山は気にしなくていい。俺はアイツを好きにならない」
「でも……ナツさん、なんでしょ?」

口にするたびに胸が軋む。本当にこれでいいのかと、どうしても逡巡してしまう。


「俺はアイツがナツだと思っていないから」


そう言って私の額に優しいキスを落とす。
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