溺愛求婚〜エリート外科医の庇護欲を煽ってしまいました〜

人間頭が真っ白になると、うまく思考が働かなくて冷静に物事を考えられなくなるらしい。

彼の言葉を理解して咀嚼するまでに、ずいぶん時間がかかった。

私は振られた、それは理解できる。

最初から優に本命の相手がいることを私が知っていて、その上で告白をオッケーした。私は所詮遊び相手だから、優が本気で相手にするはずがない。

その事実を受け入れることを、無意識に頭が拒否している。私は自分が本命だと思っていた。でも優にしてみれば、遊び相手なのに出しゃばって、痛い女だったのだ。

それが私が彼を見た最後になってしまったのは言うまでもなく、信じていた人に裏切られて、私はひどく傷ついた。

優は最初から私を対等な立場で見ていなかったという事実に、胸が張り裂けそうでたまらなかった。
本来なら文句のひとつでも言ってやりたいところだけど、こうなってしまったことを、どこかで納得している私もいた。

ああ、やっぱりなって、これでようやく今まで腑に落ちなかった部分が初めて腑に落ちた。

ショックでしばらく立ち直ることができず、でも落ちこんでいるのも嫌だったから、これまで以上に仕事に打ち込んだ。

忙しくしていれば、嫌なことはすべて忘れられる。

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