溺愛求婚〜エリート外科医の庇護欲を煽ってしまいました〜
「え、あ、は、はい!」
まさかこんなにあっさり承諾してくれるとは思わず、拍子抜けした。
「ひと目につく場が嫌いで今までパーティーに参加したことなんてなかったおまえが、まさか婚約者を連れてくるなんて驚いたよ」
「今回は理由が理由だからな」
「あとで会見があるから参加しろ。もちろん、柚さんも一緒にだ。いいな?」
そう言い残して忙しなくパーティー客の中へと紛れ、笑顔を浮かべる修さんの父親。怖い人だと思ったけれど、最後に私を見る目はとても優しかった。
「ところで、会見ってなんですか?」
「生放送のテレビ中継だよ。今年は六十周年だからって、ぜひ家族全員でってことらしい。修は乗り気じゃなくて不参加予定だったけど、どうやら気が変わったらしい」
「ええっ?」
その会見に私も参加しろということ?
「今年はいつもより報道陣の数も多いし、気合いが入ってるよ。柚ちゃんも一緒に参加するなんて、嬉しいな」
「な、なにを言っているんですか」
とてもじゃないけど私にそんな大役なんてできっこない。世の中に恥をさらすことになるに決まっている。
「む、無理です」
「柚、今日だけは我慢してくれ」