溺愛求婚〜エリート外科医の庇護欲を煽ってしまいました〜
「それでは、すぐにいつものコースをご用意致します。飲み物はいかがなさいますか?」
「俺はノンアルコールのビールを、彼女には軽めの白ワインを頼むよ」
放心している間に篠宮先生は慣れたように飲み物をオーダーする。
支配人さんが軽く会釈をして立ち去った後、私は足から力が抜けていくのを感じてその場によろけた。
すかさず腰に腕が回されて、力強く支えてくれる。私のものとは違う引き締まった身体にドキッとした。
「具合でも悪いのか?」
「いえ、そんなんじゃありません……」
雰囲気に圧倒されて、思わず力が抜けてしまうなんて情けない話だ。
「私、こんな格好だし、恥ずかしいです……」
せめてもう少しマシな格好をしていれば、少しは自信が持てたかもしれない。
「そんなことはない。俺だって普段着だ」
そうは言っても素材や金額が違いすぎる。価値観や住む世界だって全然違う。
篠宮先生は屈んで私の身体を持ち上げた。
「な、なにをするんですか」
「大人しくしていろ」
「きゃあ」
軽々と持ち上げられ、篠宮先生にお姫様抱っこされながら、VIPルームに足を踏み入れることになってしまった。