鬼課長の魔法の義足。(11/24修正完結済み)

お願い……神様!!
最後の力を振り絞ってゴールのテープを切ったのは、
どっち?勝敗の行く末は!?
お互いに全力で走った2人は、そのまま倒れ込んだ。
その瞬間だった。アナウンスが流れた。

『優勝。日本・日向亮平選手。
記録・大会新10秒88です!』

や、やったー!?
課長が1位になった。つまり金メダルに輝いたのだ!!
しかも新記録だなんて凄い……。

周りは、一気にお祭り騒ぎだ。
たくさんの喜びの声と握手が鳴り止まない。
私も嬉しくて今にも課長に駆け寄って
抱き締めたいぐらいだった。だが
まだ表彰台にも立っていないためグッと我慢した。
課長……。

「良かったですね。日向さんが勝って」

「はい。」

夏美さんも嬉しそうに言ってくれた。
私は、涙を拭いながら笑顔で答えた。
課長の方を見るとロンさんがよろよろと立ち上がると
課長のところに行った。そして手を差し出してきた。
聞き取れないが英語で何かを言っているようだった。

課長は、その手を受け取ると立ち上がった。
お互いに笑顔になりながら抱き付いていた。
これは、全力で戦った最大のライバルで
最高の友情の証だろう。

表彰式もメダルを貰うとロンさんは、
仲良さそうに課長と一緒に撮影に応じていた。
たくさんの取材陣やインタビューが金メダルと
銀メダルを取った2人に注目していた。

凄い……あっという間に課長は、
時の人として脚光を浴びていた。凄いなぁ……。
そう思って見ているが、何だが
少し遠くに行ってしまったような寂しさを覚えた。
何故だろうか……嬉しいはずなのに。

すると課長が撮影を振り切り私のところに
駆け寄ってきた。えっ……?
私は、驚いてしまう。

「課長……?」

課長は、メダルを取ると私の首にかけてくれた。
綺麗な色の金メダルだった。
これが金メダルの重み……?

ズシッと伝わる重みに感動する。
なんて素敵なメダルだろうか……。
すると課長は、真っ直ぐと私の方を見てきた。

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