再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~
「ちょっと手!」
「手を繋ぐぐらいいいだろ。減るもんじゃないんだから」
テツの強引さにいつも負けてしまう。
だけど、嬉しそうにしている表情を見たらそのままにしておこうか、なんて思ってしまった。
***
買い物を終えると早足で店を出た。
今日、寄ったお店に当分は来れないだろう。
その原因はテツだ。
最初に入った店で何着か試着し、気に入ったスーツの会計をしようとした時にテツが「俺が払う」と言い出した。
私はそれを拒否すると、向こうも自分が払うと引いてくれない。
レジ前で何度も「自分で払う」「俺が払う」と言い合いし、店員はその様子を苦笑いしながら見ていた。
テツにそこまでしてもらう必要はないと訴えると「好きな子に服を買ってあげたいと思うことがどうしていけなんだ」と言われてしまい、私は何も言えなくなった。
他のお客さんが私の後ろに並び、店員に『どっちでもいいからさっさと支払い済ませて』という視線を送られた。
話し合いの末、スーツは私、それ以外の服をテツが払ってくれることになった。
私の為にそんなにお金を使わなくてもいいのにと申し訳なくなる。
次のお店で服を物色して試着するたびにテツが私を誉めちぎる。
「美桜に似合うよ」、「可愛いね」とか。
恥ずかしくて何でもいいから早く服を決めて店を出ようと思うほど。
この店での支払いはテツがしてくれた。
それにしても、テツと一緒だと落ち着いてゆっくり服も見れない。
二度とテツとは服を買いに行くことはないなと思った。