再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~
「なに言ってるの。あなたはさっさと仕事しなさい」
「おばさんのケチ」
「こら、おばさんじゃないでしょ。ここでは社長と呼びなさい」
「分かりましたよ、社長!」
注意されたテツは“社長”の部分を強調して言うと、立ち上がった。
「哲平、美桜さんのことが気になるのも分かるけど、自分の置かれている立場を忘れては困るわよ。しっかり実績を積んで次のステップへ進む準備をしなさい。何のためにこの会社に来たの?」
厳しいけど愛情のある言葉だ。
現にテツの表情が明らかに変わった。
仕事モードとでもいうのかな。
どう表現していいのか分からないけど、キリッとして隙がない感じだ。
その姿に思わず見入ってしまった。
「美桜、ゆっくり社内を案内してもらって。じゃあ、仕事してくる。失礼しました」
軽く頭を下げ、テツは社長室を出ていった。
「なるほど、美桜さんの前では素を見せているのね」
社長はクスッと笑う。
素を見せる?
不思議に思っていると、社長は私を見て微笑んだ。
「あの子、外面は完璧だけどちょっと子供っぽいところがあってね。聞いていると思うけど、父親の会社を継がないといけないからそれなりに重圧があると思うの。仕事中は一切隙を見せなくて、どこかで息抜きをしないと心身共に壊れてしまう。だから、ありのままの姿を受け入れてあげれる人や場所が必要だなと思っていたの」
隙がないというのは、さっき私が感じた仕事中のテツの姿だ。