願い婚~幸せであるように~
コース料理をオーダーしてから、部長にどちらのマンションが良かったかと聞かれる。

どちらも入ったときにホテルかと思うくらい高級なマンションだった。フロントにコンシェルジュが常駐していて、共用施設の充実さに驚いた。

間取りはどちらも2LDKで、リビングが広かった。窓も大きくて、そこからの景色が素敵で私は感嘆な声をあげた。

職業柄、特にチェックしたところは備え付けられている家具や照明。マンション全体でトータルコーディネートされているから、洗練された統一感がどちらもあった。

でも、私は悩むことなく片方に決めた。


「あとに見たマンションがいいです」

「どうして? 決め手はなに?」

「決め手は、壁紙です。リビングや寝室の壁紙に凹凸があったので。温かみを感じる壁紙が好きなんです」

「なるほど、壁紙。注目するポイントが、さすがインテリアコーディネーターだね。じゃあ、明日契約しておくよ」

「ありがとうございます」


住むところが決定して、次に決めるのは家具。ダイニングテーブルセット、ソファセット、ベッドが必要。他は備え付けられている。

家具については私に任せるというので、今夜帰ったらカタログでチェックして、明日注文をする。急ぎでやれば、入居までになんとか間に合う。
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