願い婚~幸せであるように~
「和花、どうした?」

「あ、いえ……なんでも……じゃなくて、和花と呼ばれてドキドキしてしまいました」


正直に伝えた私に、幸樹さんは目をパチクリさせて、微かに頬を赤らめる。なにか恥ずかしいことを言ってしまった?

自分の言葉を思い返すが、思い当たらなく、どうしたのかと彼をただ見つめた。


「ドキドキしてくれるって、なんか恥ずかしいというか……うん、照れるね」

「えっ? あ、そうですね。呼び方を変えると、照れくさくなりますよね」

「いや、呼び方で照れるんじゃなくて……。俺を意識してくれていることに、照れる」

「えっ? あー、そうですね! 他の人に呼ばれてもドキドキしないのに、幸樹さんだけにドキドキするのは、確かにそういうことですよね。結婚するという実感が今沸いてきたのは、幸樹さんを意識してるからなんですね」


彼の答えから、なんでドキドキしたかという答えを導き出し、私は盛大に納得した。ところが、幸樹さんはそんな私を笑う。

笑われるようなことを言ってはいないはずなのに。


「子供の頃と変わらないね。子供の和花もね、どんなことでも真剣に考える子で、一緒にいて楽しかった。だから、ずっと和花を見ていたいと思った」
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