願い婚~幸せであるように~
子供の頃の私を知る彼に、変わらないと言われるのは嬉しい。幸樹さんと過ごした日々をなにも思い出せない自分が悔しくなるが、彼となら楽しい暮らせそうな感じがした。


「そういえば、だいぶ話が脱線したけど、ベッドを聞いていたよね?」

「あ、そうそう、そうです。シングルでは狭いですよね? セミダブルをふたつにしましょうか?」

「いや、もっと大きいほうがいいな。キングサイズにしようよ」

「えっ、まさかベッドはふたりでひとつですか?」

「当たり前でしょ? 夫婦なんだから」


夫婦は当たり前にひとつのベッド……それが一般的なの?

ううん、そうとは言えない。昨年結婚した友だちは別々のベッドで寝ている。一緒だと隣の寝返りとかが気になって、ぐっすり眠れないからだと教えてくれた。

友だちの話になるほどと思ったから、ベッドはふたつが当たり前だと思っていた。

でも、幸樹さんはひとつが当たり前だと言うから困った。

どうしようかと考える私に彼は、「どうした?」と聞く。友だちから聞いた話をすると、彼もなにかを考えているようで黙りこむ。


「試してみる?」

「試す…ですか? なにを?」
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