願い婚~幸せであるように~
「俺の今使っているベッド、ダブルだからふたりでも寝れる。だから、一緒で寝れるかどうか試してみよう。で、寝れたらひとつ、寝れなかったらふたつにしない?」


なんとも単純明快な提案である。しかし、単純に賛成出来ない。


「そのお試しは困ります」

「どうして?」

「どうしてって。だって、私たちまだ……」


まだなにも致していない。誕生日パーティーの時に手を握られただけだ。

結婚から始めるとなると、なにもかもが一般的ではなくて、どうするのが正しいのか分からないが……試しに寝るのは正しくないと思う。


「昔、同じベッドで寝たことあるんだよ」

「えっ、うそ?」

「和花はたまに俺の部屋の本を読んでた。それでね、眠くなったからベッド貸してねって、寝たんだよ。こうくんも一緒に寝ようと誘ってね」

「誘った?」


幼い頃の私はなんて大胆だったんだろう。恥ずかしすぎて、頭を抱える。


「うん。で、俺の腕にしがみついてすやすやと寝てた。だから、今でも問題なく寝れると思う」

「でも、何年も経っているし、状況も違うから寝れないかもしれません」

「だから、試してみるんでしょ?」


幸樹さんは楽しそうに微笑む。期待に満ちた目で見られて、断る理由がなにも浮かばない。
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