願い婚～幸せであるように～
無駄な買い物をしないために、お試ししたほうがいいと自分で自分に納得させて、幸樹さんの提案にのることにした。

決まれば、早速だと今夜泊まることになる。

食事を終えてから、私のマンションに行く。急いで、着替え等を小さなボストンバッグに詰め込んで、車の中で待っている幸樹さんのもとに戻る。


「そういえば、幸樹さんの家って、どこですか？」

「ん？ なに言ってるの？ この前来てくれたよね？」

「この前……。えっ、ひとり暮らしじゃないんですか？」

「いい年した男が実家暮らしって、変？」

「いえ、そういうわけじゃなくて……」


私や淳平は大学進学を機に、ひとり暮らしを始めたが、地元の友だちのほとんどは実家暮らしをしている。

幸樹さんにしても、大学もオフィスも実家から通える距離にあるなら、わざわざひとり暮らしをしないのも当然だ。

勝手にひとり暮らししているものだと思っていた私が悪い。しかし、家族みんながいる家にお泊まり？


「あれー？ 和花ちゃんじゃないのよ。どうしたの？」

「うん。あのね、今夜はこちらに泊めてもらうことになって……」

「えっ、うちに泊まるの？ 和花ちゃん、私の部屋で寝てね！」


突然訪問した私をすみれちゃんは喜んでくれて、私の手を引っ張った。
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