願い婚~幸せであるように~
後部端の空いている席に社長が座ると、森村さんは小さく咳払いをして、姿勢を正した。続きを話し始めると、幸樹さんがそっと動いて社長のもとに行く。
私はそれを横目で見るが、さすがにずっと後ろを見ていられなくて、前を向いたから何を話しているのかは分からなかった。
幸樹さんはすぐに戻って、チラッとこちらを見た。つい彼の動きを目で追っていた私はドキッと心臓を揺らす。見ていたのがバレたようだ。
いけない、集中しないと! それよりも課長はまだかな?
川中さんも同じ思いだったらしく「ちょっと課長の様子を見てくる。すぐ戻るから」と出ていく。
ひとり残された私は不安しかないが、加藤さんがこっそりとこちらに来てくれた。森村さんの説明が終わり、最初にプレゼンする会社が準備しているところだった。
「なにかありました?」
「うちの中野のお腹の具合が良くないようで、今川中が様子を見に行っています。川中はすぐ戻るかと……あ、戻ってきました」
戻ってきた川中さんに様子を聞くと、プレゼンをするのは無理らしいとの返事が返ってくる。
「和花、どうした?」
「あ、こう……茅島部長」
幸樹さんから下の名前で呼ばれて、つい私までもが下の名前で返そうとしてしまい、慌てて言い直した。
私はそれを横目で見るが、さすがにずっと後ろを見ていられなくて、前を向いたから何を話しているのかは分からなかった。
幸樹さんはすぐに戻って、チラッとこちらを見た。つい彼の動きを目で追っていた私はドキッと心臓を揺らす。見ていたのがバレたようだ。
いけない、集中しないと! それよりも課長はまだかな?
川中さんも同じ思いだったらしく「ちょっと課長の様子を見てくる。すぐ戻るから」と出ていく。
ひとり残された私は不安しかないが、加藤さんがこっそりとこちらに来てくれた。森村さんの説明が終わり、最初にプレゼンする会社が準備しているところだった。
「なにかありました?」
「うちの中野のお腹の具合が良くないようで、今川中が様子を見に行っています。川中はすぐ戻るかと……あ、戻ってきました」
戻ってきた川中さんに様子を聞くと、プレゼンをするのは無理らしいとの返事が返ってくる。
「和花、どうした?」
「あ、こう……茅島部長」
幸樹さんから下の名前で呼ばれて、つい私までもが下の名前で返そうとしてしまい、慌てて言い直した。