願い婚~幸せであるように~
状況を説明すると、幸樹さんは腕を組んだ。


「ふたりでも出来そう?」

「はい。何度も全体には目を通しているので、大丈夫かと思います。ただ緊張しますけど」

「大丈夫そうなら、ふたりでがんばって。なにかあったら、加藤がフォローするから」


幸樹さんが加藤さんにも伝える。加藤さんは自分の胸を叩いた。


「はい。フォローは任せてください」

「ありがとうございます。心強いです」


準備が整ったと森村さんが言ったので、加藤さんはすぐ自分の席に戻っていく。幸樹さんはすぐ戻らず、私の右手を両手で握った。

「大丈夫。和花なら、ちゃんと出来る。見守っているからね」

「あ……はい……」


突然手を握られて、真っ直ぐと見つめられて、ドキドキしないわけがない。緊張感は薄れたけど、別な意味で動揺してしまう。

幸樹さんが離れて、私も着席した。


「さすが新婚さんだね。見ていて俺まで照れてしまったよ。うん、がんばろう」

「はい……」


一部始終を見ていた川中さんに言われて顔が熱くなったが、気を引き締めるように何度か小さく深呼吸をした。

まずはしっかりと伝えるべきことを伝えないと。ミスをしないようにやろう。
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